マンスリーカルチャー
令和5年10月

食欲の秋です。今、八百屋さんで目に付くのは、ふっくらしたサツマイモです。サツマイモの旬は9月から11月とされ、子供の頃この時期に「お芋掘り」を楽しまれた方もいらっしゃると思います。その時に、どうされましたか?採れたてが新鮮なので、家に持ち帰ってすぐに食べたでしょうか。これは、もったいないことになります。実は、掘りたてより貯蔵後の方が甘くなり、収穫後2か月ほど貯蔵して熟成させることで糖度が増し、美味しさが充実してきます。この頃が食べ頃ということになります。何事も焦ってはいけない、という典型ですね。なお、美味しいサツマイモの見分け方は、芋の皮の色が均一でハリとツヤがあり、傷や斑点がなく、中央部がずんぐりと膨らんでいて、凸凹やひげ根が少ないものになります。
サツマイモは原産は中南米で、16世紀ころヨーロッパ人が持ち帰り、それが東南アジア、中国へ渡り、17世紀初頭に琉球、九州に伝わった、とされています。江戸時代の大飢饉の折に当時の薩摩で餓死者が出なかったことから、凶作の時でも収穫が見込める救荒作物として注目され、特に青木昆陽の働きは教科書にあるとおりです。時の将軍徳川吉宗に救荒作物としてサツマイモ栽培を提言し、将軍の命を受け普及に努めた人物です。 ちなみに薩摩(サツマ)今の鹿児島では、サツマイモとは言わず、「唐芋(からいも)」と呼ぶようです。確かに中国、琉球と渡って来たので、なるほど、という感じです。
ところで、サツマイモは低温に弱いので新聞紙にくるんで、湿度の高い冷暗所での保存がおススメです。旬のサツマイモでしたら、この保存で3か月は大丈夫だそうです。ここまで長期保存になると、むしろサツマイモを保存していることを忘れてしまう方が心配です。
