マンスリーカルチャー
令和5年2月

日が少しずつ長くなり、春が近づく気配を感じられるようになってきました。そうなると3月3日のひな祭りが待ち遠しくなります。ひな祭りの時に飾られるひな人形は、形代(かたしろ)と呼ばれる人形の一種で、霊が降臨するものとされ、娘に襲い掛かる災難を避ける、という趣旨です。娘の枕元に形代を置いて身代わりに災厄、穢れを受けるようにして、一年経過したときに川や海に形代を流すことが行われました。これが「ひな流し」であり、ひな祭りの起源になります。なお、節句が過ぎてもひな人形を片付けないと娘の婚期が遅れる、といわれるのは、娘の災厄を受け止めたひな人形が家の中に留まることを避けるため、と考えられます。
ひな祭りの菱餅は、桃色・白・緑の3色で作られることが多いですが、桃色はクチナシ、白はヒシの実、緑はヨモギから着色されており、色に込められた思いがあります。桃色はご先祖に感謝、白は子孫繁栄、緑は健康を願うもので、長生きのヒシ(菱)の実にあやかってヒシの実の形(菱形)になりました。
ちなみにヒシの実は日本各地の池や沼で生息しますが、現在食用として栽培しているのは九州の一部だそうです。古くから薬膳の食材とされ、がんと戦うインターフェロンの生成を促す働きがあるそうですので、一度お試しあれ。くせがなく、食べやすいそうです。ただし、実の収穫時期は9月から11月ですので、秋までお待ち下さい。
