マンスリーカルチャー
令和2年5月

このところコロナウイルスの影響で世の中の様子がすっかり変わりましたが、大きな時の流れは変わることなく、いつもどおり春から夏に季節は移っていきます。
この時期になると鮮魚店では、鰹(かつお)が主役になります。5~6月が旬の「初鰹」は、句にも詠まれて有名ですが(目には青葉 山ほととぎす 初鰹)、初秋が旬の「戻り鰹」とは、味が違うようです。初鰹は黒潮に乗って北上しているときに揚がるのでさっぱりした味わいで、戻り鰹はエサをたくさん食べて南下してくるので、脂が乗ってトロ鰹といわれるほどこってりしているそうです。
鰹は日本では古くから食べられており、かの武将織田信長は、海から離れた岐阜に鰹を取り寄せて、家臣にふるまったようです。
なお、鰹は鮪(まぐろ)と同じく、常に泳いでいることが求められる魚ですので、元気な魚の代表格といえましょう。
鰹を刺身で食べるとき、江戸時代は芥子(からし)醤油が定番だったそうですが、現代は生姜が付け合わせに出されることが多くなりました。美味しいものを食すれば、ストレスも和らぎますので、今晩の夕食に新鮮な鰹をお好みのアルコールを飲みながら頂く、というのはいかがでしょうか。
季節の変化を食事で感じ、元気な鰹にあやかり、困難なこの時期を穏やかな気持ちで健やかに過ごしたいものです。
