マンスリーカルチャー
平成29年9月

今年は明治の文豪夏目漱石の生誕150年になりますが、漱石は新宿に縁があります。1867年(慶応3年)に江戸の牛込馬場下横町(現在の新宿区喜久井町)で夏目小兵衛直克、千枝の末子として誕生しました。夏目家は代々の名主であり、裕福であったことからそれに因んで今も喜久井町に「夏目坂」の地名が残っていますが、これは漱石の生誕に因んだものではありません。そもそもこの喜久井町の「喜久」は夏目家の家紋である「井桁に菊」に因んだものです。なお、1916年(大正5年)12月9日に療養先の伊豆修善寺で胃潰瘍を悪化させて他界しましたが、この時の旅館が菊屋旅館で家紋の菊に因んでいるところも因縁のような気がします。
なお、漱石は愛媛県の松山に教師として赴任したことは小説の「坊ちゃん」でよく知られていますが、漱石にとって新宿区とは終生縁があったようで、漱石の終焉の地となる最後の自宅は牛込区早稲田南町7(現・新宿区早稲田南町7)です。この家は「漱石山坊」として、今は新宿区が保存管理しています。
新宿に縁が深い漱石の話題はまだ語りつくせないので、この後もご案内致します。