外形標準課税の減資への対応が標準税率に与える影響について
令和6年度税制改正で、都道府県の法人事業税における外形標準課税について見直しが行われました。
そのうち、「減資への対応」では、令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、改正前の基準である「資本金又は出資金が1億円超」を維持したうえで、前事業年度に外形標準課税の対象だった法人については、その事業年度末の資本金が1億円以下であっても、払込資本の額(資本金+資本剰余金)が10億円超の場合には外形標準課税の対象とされました。
今回はこの「減資への対応」が標準税率に与える影響についてご報告いたします。
一部の府県の外形標準課税では、これまで超過課税のみでしたが、「減資への対応」に伴い外形標準課税の対象となる法人のうち、各府県の定める超過課税となる要件を満たさなければ、所得割1.0%、付加価値割1.2%、資本割0.5%の標準税率が適用されます。
具体的な要件及び府県は以下の通りです。
府県名 | 外形標準課税の標準税率が適用される内容 |
宮城県 | 資本金又は出資金が 1億円以下 、かつ年所得 4,000万円以下 の法人 |
静岡県 | 資本金又は出資金が 1億円以下 、かつ年所得 3,000万円以下 の法人 |
愛知県 | 資本金又は出資金が 1億円以下 、かつ年所得 5,000万円以下 の法人 |
大阪府 | 資本金又は出資金が 1億円以下 、かつ年所得 5,000万円以下 の法人 |
兵庫県 | 資本金又は出資金が 1億円以下 、かつ年所得 7,000万円以下 の法人 |
MEMO
【雑費と雑損失の違いについて】
雑費とは、少額かつ一時的な出費で、他に該当する勘定科目がない場合に発生した経費を計上する際に使用する勘定科目です。
注意すべき点は、「少額かつ一時的な出費」であるということです。この場合、一時的なオフィス機器などのレンタル費用、ゴミ処理代や臨時的な清掃費などが該当します。また、似たような勘定科目に雑損失がありますが、雑費との違いは「本業と関係があるかどうか」です。
雑費は、事業上の費用のうち他の勘定科目にあてはまらないものを指します。一方の雑損失は、本業とは関係なく発生した損失を計上するための勘定科目です。災害や盗難による損失、罰金、損害賠償金の支払いなどが雑損失に該当します。
他の勘定科目にあてはまらない支出という点ではどちらも同じですが、性質がまったく異なるため注意しましょう。