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マンスリーカルチャー
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令和7年8月

 記録的な暑さの夏ですが、その夏の季語を使って詠まれた有名な句があります。

閑さや岩にしみいる蝉の声

 教科書にも載っていますので、ご存知の方も多いと思います。松尾芭蕉が1689年7月13日に当時の出羽の国(現山形市)の立石寺で詠んだ句です。暑さの中に涼感を感じさせられます。ちなみに欧米では、セミの鳴き声は雑音、騒音として聞こえるようで、鳴き声の違いでセミの種類を聞き分けることはないようです。

 今年7月に「都内の公園内でセミの幼虫が乱獲されている」との新聞記事がありました。誰がそのようなことをするのか、と訝しく思いましたが、隣国の中国では、昔からセミを食する習慣があるそうで、在住の中国人が複数でセミの幼虫を多数捕獲している現場も目撃されたそうです。

 セミは我が国では俳句の季語として詠まれ、名句として語り継がれるほどの夏の風物であり、小さいお子さんたちには、セミの幼虫を見つけ、家で飼育して羽化して飛び立つまで観察をする、という生命の尊さを学ぶ対象になっていることから、公園などにいるセミを食用で捕獲する行為には、聊か違和感を覚えます。

 ところで、セミは、卵➡幼虫➡成虫と成長しますが、幼虫として地中で生活する期間は短い種で2年、長い種では17年にもなるそうです。一定の時期が来ると幼虫は地上に現れ、羽化したあと成虫になりますが、成虫としての生存期間は1か月に満たない短いものです。そこで、セミは生命力のある生物として、中国では「生き返り、復活、再生」の象徴とされ、古代ギリシアではアリストテレスが「再生と不死の象徴」と表現しています。

 そのようなセミの中で、カナカナカナ、と鳴くヒグラシの声が聞こえてくると夏の終わりを感じますが、かの万葉集でもヒグラシの鳴き声が詠まれています。我が国では、このように季節の変化を生物から感じ取ることが古くから行われてきました。こういう文化をこれからも大事にしたいものです。セミの鳴き声が雑音に聞こえる方々、食用としてセミを捕獲する方々にはこのような感性は理解できないかもしれませんが。


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